きろく

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「連続殺人犯」小野一光 ★★★★★★★☆☆☆

とにかく文章が素晴らしい。実話にもかかわらず小説さながらにまとまっており、夢中になってすぐに読み終わってしまった。

どの殺人犯のエピソードも深く取材されており、ずっと引き込まれっぱなしだった。とんでもない労力をかけて書かれた本だということが読んでいてわかる。

すべての話に対して心に残る節があった。

ひとくちに殺人犯といっても様々で、少しのボタンの掛け違いで転落するように人殺しになった人間もいれば、人の心をもたない「消された一家」の松永太のような人間もいる。

「人が殺人を犯すということ=常人には理解できない異常な状況、ということではないのだな」と思うとそれも恐ろしい。

それにしても、北九州一家連続殺人の内容は何度読んでも顔をしかめてしまう。心がひんやり冷たくなるような、得体のしれない恐ろしさを感じずにはいられない。

猟奇殺人犯に興味がある人には是非すすめたい一冊。

決して後味のよい本ではないですが、たびたび読み返したくなりそう。

 

Netflixに猟奇殺人犯と会って、彼らの心理を解き明かしていく「マインドハンター」というドラマがあるが、この著者はリアル・マインドハンターだなあと思った。(ルポ作家さんですが)

しかもマインドハンターよりおもしろい。事実は小説より奇なりですねー