「自殺会議」 末井昭 ★★★★★☆☆☆☆☆
2020.01.19 末井昭「自殺会議」を読んだ。
著者による、11人の自殺に縁のある人とのインタビューから成った本。
(自殺未遂した人、親・子供が自殺した人、自殺しようとする人を救う人etc)
同じ著者の書いた「自殺」という本を以前読んだが、あまり共感できず。(そのうち感想書ければ書きます)
この著者の母親は愛人とダイナマイト心中という非常に衝撃的な自殺をしていて、この本は「自殺」に続く二冊目の自殺についての著書となる。
この本は自殺をしようとしている人を食い止める抑止力はないと思う。
ああしろこうしろと説教くさく言うこともなく、死にたいという事をおかしいということもない。割とゆるい。(ゆえに、精神状態悪い時に読むと、さらに落ち込むかもしれない。)
載っているのは、死にたかった人/死にたい人が共感できるポイントと、ドン底から少し這い上がるヒントが散りばめられているだけ。
違う人にインタビューしているのに、同じ様な話に帰結していくこともあり、それが面白い。
多くの人のインタビューに共通しているのは、「自殺したい人の多くに必要なのは他者とのコミュニケーションだ」ということ。
また、「赤の他人とのコミュニケーションは、大きな救済となる」という事も共通して述べられている。
なんでも話せる友達がいればよいが、近しい人に死にたい気持ちを吐き出すのは簡単ではない。
本当の意味で、なんでも話せる友達を作るのは、大人になればなるほど難しくなる。
友達にも家族にも負担をかけたくない、と思うようになる。
ボロボロの時は寄り添ってくれることよりも、冷静な視点を与えてくれることの方が大事なのかもしれない。
(私も上京&一人暮らしをはじめたばかりの頃は、
誰とも話さず寝ているだけで1日が終わっていった時期が半年ほどありまして、
人と関わらないことで、どれだけ身も心もガリガリ削られていくのかは、わかっているつもりです…。)
また、「自分の言葉で表現する」ということの大切さも共通している。
坂口恭平さんのインタビューの、
「つらい」という言葉ひとつ取っても、百人百様のつらさがある。
それは人がつくった言葉だから、全部自分の言葉に置き換えなきゃいけない。
という言葉が、深く心に残った。
自分の言葉で深く自分に、そして他人に向き合う事で、糸口が見えてくるのではないか。
毎日を自転車をこぐみたいになんとか生きていけば、いずれ寿命はみんなにくるし。
その他にも岡田有希子が亡くなったときは脳みそ飛び散る死体の写真も含めて報道されていたとか、
東尋坊に自殺抑止のためにドローンが導入されただとか、この本を読んで自殺トリビアみたいなことも知りました。
私が特に印象に残ったのは、死にたい人の電話を受けている坂口恭平さんと、筋ジストロフィーの岩崎航さんのインタビュー。
正直、インタビューをする相手によっては、私にはあまり内容が響かなかったです。
また、この著者はいい意味でも、悪い意味でも素直で、
前作「自殺」ほどではないが自分の恥部を開けっぴろげに書きすぎでは…?と不快感を感じる部分もあり、星5つにしました。
友川カズキ-死にぞこないの唄
この本を読んでる間、この歌がずっと頭の中をリピートしてました。